民法 総則 第5章 期間 (現代語訳)
期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。
民法 第139条 (期間の起算)
時以下の単位で期間を定めた場合は、その期間は、即時に起算する。
時・分・秒を単位とする場合:即時を起算点とし,時・分・秒の終了を満了点とします。自然の時間によって計算する方法で,「自然的計算方法」。
民法 第140条(起算点、初日不算入の原則、期間を計算する場合のその初日は含まずに次の日から計算する)
日以上の単位、つまり日、週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間が午前0時に始まる場合を除いて、初日を参入せずに翌日から起算を始める。
例えば,法律の公布日が5月8日で,「この法律は,公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。」とあった場合,「公布の日」は上記の「初日が午前零時から始まるとき」に該当するので,「公布の日」を初日として算入し,20日目の5月27日を経過した時点(5月28日午前0時)をもって施行となり,「5月28日から施行する」という意味になります。
民法 第141条 (期間の満了)
前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
民法 第142条
期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。
民法 第143条 (暦による期間の計算)
1項:週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、太陽暦に従って計算する。
2項:週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
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この計算方法では,同じ期間でも,年の平閏,月の大小によって実日数が異なってきます。 労基法: 平均賃金:原則的な算定式=算定事由発生日以前3月間賃金総額/3月間総暦日数: (1)賃金締切日が無い場合:事由発生当日は賃金が少なくなる傾向があるので算定せず、当日前日を起算日とするので、 算定事由発生日5/20 2/20
3/19 3/20
4/19 4/20
5/19 (2)賃金締切日が有る場合:事由発生当日の賃金減少の影響が無いように、直近の賃金締切日(20日)を起算日とするので、 算定事由発生日6/10 2/21
3/20 3/21
4/20 4/21
5/20 |
年齢:
年齢1.厳密な法解釈の通りに「誕生日前日の24時」から起算する:しかしながら、
年齢2.現実的には、法律上の加齢される日(すなわち誕生日前日)の0時に遡って起算する:
年齢計算ニ関スル法律(明治35年12月22日 施行)
1 年齢は出生の日0時より起算する。
2 年齢の計算には民法第143条の規定を準用する。民法 第138条 (期間の計算の通則)
年齢の計算については、民法の期間計算とは異なり、初日を参入する。
年齢は出生日の0時より起算する(期間初日より起算する場合は、その起算点は0時である)。
『年齢計算ニ関スル法律 2項 および 民法141条』より、年齢は誕生日の「前日24時」をもって加齢される。法律上その加齢される日付の扱いは24時の側である「誕生日前日」であり、0時側の「誕生日」ではない。
例えば【19才】という期間は誕生日の前日の24時で終わり、同時に、この瞬間の誕生日の0時に【20才】となり「20才の期間」が始まる。理論上、応答日=誕生日の前日で期間は満了する=誕生日の前日の終了したときに1歳年齢が上がる。
加齢される時点および、その日付の扱いについては『最高裁判例 S54.4.19』で「明治四五年四月一日生まれの者が満六○歳に達するのは右の出生日を起算日とし、六○年目のこれに応当する日の前日の終時点である昭和四七年三月三一日午後一二時であるが(以下略)」という風に解釈されている。
誕生日:年金支給開始等に重要!
また、(満期日について)同法第2項において「民法第143条ノ規定ハ年齢 ノ計算二之ヲ準用ス」とありますので、○○年4月1日に生まれた人は、その日(何時に生まれてもその日の午前零時)から起算すると翌年の○*年3月31日(この場合4月1日という起算日の応答日がありますので、その前日)の午後12時に満1年の期間満了を迎えます。つまり、誕生日の前日に満1年を迎えることになります(民法143条第2項本文前段)。なお、閏年に生れた人(2月29日が起算日の人)の平年度(翌年)はその起算日の応答日がありませんので、上記の起算日の応答日がある場合と違い、平年度は2月28日の誕生日当日に該当年齢に達します(民法第143条第2項但書)。次の閏年の年度には、その起算日(29日)の応答日がありますので、その誕生日前日(28日)に該当年齢に達します(民法143条第2項本文前段)。
早生まれ (2004/12/26、http://www.h3.dion.ne.jp/~sakatsu/period_topic2.htm#Note):
「子供を小学校へ入学させる時期」を定めた法律:『 学校教育法第22条第1項』:
「保護者の小学校の就学義務を子どもの満6歳に達した翌日以後における最初の学年の初めから満12歳に達した日の属する学年の終りまでとする。」
学年は「4月1日」から始まりますので、上記の法律をもう少し判り易く表現すると「「満6歳に達した日」の翌日から見て最初に訪れる「4月1日」に小学1年生として入学させなさい。」となります。満6歳に達する日付(法律上の加齢される日付)は前述の通り、4月1日生まれ
→ 3月31日、4月2日生まれ → 4月1日です。そうすると「その翌日から見て最初に訪れる4月1日」とは4月1日生まれ → 3月31日 → その年の4月1日(翌日が4月1日なので滑り込みセーフ)、4月2日生まれ
→ 4月1日 → 翌年の4月1日(翌日が4月2日で過ぎている為に丸1年待つ羽目に)になります。この各々の「年」が小学校に入学する年になります。こういった理由により、4月1日生まれは4月2日生まれより1学年早く、3月31日生まれの子供と同学年になります。
法律上の加齢される日(すなわち誕生日前日)の0時に遡って起算する、
公職選挙法に基づく「選挙権の取得」という期間の定義があります。
これには『S55.8.26 最高裁判決』があり、「公職選挙法第9条の「年齢満20年以上」とは選挙権取得の開始時期を定めるものであり、満20年に達する日をもって選挙権取得の始期とする趣旨であるとみられる。よって満20年に達する日とは、誕生日(6/26)の前日(6/25)午後12時を含む同日(6/25)午前0時が開始日となるので、以降全てが選挙権取得の日に当たるものと解される。」となっています。
これによって、投票日が誕生日前日だと、投票する時点(09時〜18時)では19才なのに、投票する事ができるというケースが出てきます。
年齢3.一般的解釈で、「誕生日(の0時)」から起算する。巷の、誕生パーティー、誕生日プレゼント等。